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ビールがいしゃせいばつ
ビール会社征伐
夢野 久作
「モダン日本 6巻8号」1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,988 字 · 7 页
と遅疑する者もいたが、
「出なくともモトモトじゃないか」
と言うので一切の異議を一蹴して、直ぐに電話で相手にチャレンジすると、
「ちょうど選手も揃っております。いつでも宜しい」
と言う色よい返事である。
「それでは明日が日曜で夕刊がありませんから午前中にお願いしましょう。午後は仕事がありますから……五組で五回ゲーム。午前九時から……結構です。どうぞよろしく……」
という話が決定った。麦酒会社でも抜け目はない、新聞社と試合をすれば新聞に記事が出る……広告になると思ったものらしいが、それにしてもこっちの実力がわからないので作戦を立てるのに困ったと言う。
困った筈である。実はこっちでもヒドイ選手難に陥っていた。モトモトテニスらしいものが出来るのは、正直のところ一滴も酒の飲めない筆者の一組だけで、ほかは皆、支那の兵隊と一般、テニスなんてロクに見た事もない連中が吾も吾もと咽喉を鳴らして参加するのだから、鬼神壮烈に泣くと言おうか何と言おうか。主将たる筆者が弱り上げ奉ったこと一通りでない。
「オイ。主将。貴様は一滴も飲めないのだから選手たる資格はない。俺が大将になって遣るから貴様は退け。