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ピエロでんどうしゃ
ピエロ伝道者
「青い馬 創刊号」岩波書店、1931(昭和6)年5月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,163 字 · 5 页
この時芸術は最も高尚なものになる。素直さは奇術の反対である。そして、この素直さから、その人柄にしたがって、涙の裏打をした笑いがほとばしるなら、それはそれで一番正しい。そして中村氏は、かなり本質的に、「悲しき笑い」の持ち主ではある。しかし中村氏は、往々にして無理な奇術を弄している。それはいけない。
日本では、本質的なファースとして、古来存在していたものは、寄席だけのようである。勝れた心構えの人によって用いられたなら、落語も立派な芸術になる筈である。昔は知らない。少くとも今の寄席は、遺憾ながら話にもならない。僕の知る限りで、「莫迦々々しさ」を「歌」った人は、数年前に死んだ林屋正蔵。今の人では、古今亭今輔。それだけ。
日本のナンセンス文学は、涙を飛躍しなければならない。「莫迦々々しさ」を歌い初めてもいい時期だ。勇敢に屋根へ這い登れ! 竹竿を振り廻し給え。観衆の涙に媚び給うな。彼等から、それは芸術でない、ファースであると嘲笑されることを欣快とし給え。しかしひねくれた道化者になり給うな。寄席芸人の卑屈さを学び給うな。わずかな衒学をふりかざして、「笑う君達を省みよ」