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ピストルのつかいかた
ピストルの使い方
泉 鏡花
――(前題――楊弓)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 39,100 字 · 78 页
しばらくして、男女は、台石の巌ともに二丈六尺と称するその大銅像の下を、一寸ぐらいに歩行いていた。あわれに小さい。が、松と緋葉の中なれば、さすらう渠等も恵まれて、足許の影は駒を横え、裳の蹴出しは霧に乗って、対の狩衣の風情があった。
――前刻、多津吉のつれの女が、外套を抱えたまま振返って、上を仰いだ処は、大造りな手水鉢を境にして、なお一つ展けた原の方なのである。――
振袖が朗な声して、
「まあ、貴方、なぜおじぎをなさらないの。さっきは、法界屋にも、丁寧に御挨拶をなすったのに、貴いお上人さんの前にさ――」
「おちかさん。」
多津吉は、盥のごとき鉄鉢を片手に、片手を雲に印象した、銅像の大きな顔の、でっぷりした頤の真下に、屹と瞳を昂げて言った。
「……これは、美術閣の柴山運八と、その子の運五郎とが鋳たんだよ。」
波頭、雲の層、累る蓮華か、象徴った台座の巌を見定める隙もなしに、声とともに羽織の襟を払って、ずかと銅像の足の爪を、烏の嘴のごとく上から覗かせて、真背向に腰を掛けた。
「姓は郡です……職人近常の。……私はその伜の多津吉というんだよ。」
「ああ多津吉さん。」
その肩を並べて、莞爾して並んで掛け、