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ペスときょうだい

ペスときょうだい

小川 未明

「幼年クラブ」1948(昭和23)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,272 字 · 7 页

青空文庫

「ペスのやつ、気分がわるいのかな。」と、弟の秀吉は、小屋をかえりみながら、まず口をひらきました。

「なに、おうちゃくなんだ。きげんのいいときはしかってもついてくるが、わるいときはよんでもきやしない。」と、兄の太郎は、いまいましそうにいいました。

「しかし今日は、気分がわるいのだろう。」と、秀吉はペスの弁護をしました。あまり兄がおこっていたからでした。

「だってそうじゃないか。お父さんはペスの恩人なんだぜ。犬ころしにつれられていくところを、お金をやってたすけなさったんだ。こんな小さいうちに命をとられるのは、かわいそうだといって。」と、太郎がそのときのことを思い出していうと、

「ほんとうにうちへきたときは、ころころとしてかわいらしかったね。」と、秀吉もうなずきました。

「そのご恩をわすれては……。」

「ペスはありがたく思っているんだよ。家じゅうで、いちばんお父さんになついているだろう。」

「それならこんな日にこそ、おともをするのがほんとうなのだ。」と、兄は口こごとをしながら、前のあき地につんであったたきぎを一本ずつとりあげて、長いのをのこぎりでひき、太いのはなたでわって、てごろにできあがったのから、なわでくくりはじめました。