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かぜのまたさぶろう

ポラーノの広場

宮沢 賢治

宮沢賢治『ポラーノの広場』。同一底本的分册已合并为一书。收入:風野又三郎、タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった、ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記、若い木霊。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 67,062 字 · 135 页

青空文庫

タネリは、大きく息をつきながら、まばゆい頭のうえを見ました。そこには、小さなすきとおる渦巻きのようなものが、ついついと、のぼったりおりたりしているのでした。タネリは、また口のなかで、きゅうくつそうに云いました。

「雪のかわりに、これから雨が降るもんだから、

そうら、あんなに、雨の卵ができている。」

そのなめらかな青ぞらには、まだ何か、ちらちらちらちら、網になったり紋になったり、ゆれてるものがありました。タネリは、柔らかに噛んだ藤蔓を、いきなりぷっと吐いてしまって、こんどは力いっぱい叫びました。

「ほう、太陽の、きものをそらで編んでるぞ

いや、太陽の、きものを編んでいるだけでない。

そんなら西のゴスケ風だか?

いいや、西風ゴスケでない

そんならホースケ、蜂だか?

うんにゃ、ホースケ、蜂でない

そんなら、トースケ、ひばりだか?

うんにゃ、トースケ、ひばりでない。」

タネリは、わからなくなってしまいました。そこで仕方なく、首をまげたまま、また藤蔓を一つまみとって、にちゃにちゃ噛みはじめながら、かれ草をあるいて行きました。向うにはさっきの、四本の柏が立っていてつめたい風が吹きますと、去年の赤い枯れた葉は、一度にざらざら鳴りました。