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かぜのまたさぶろう
ポラーノの広場
宮沢賢治『ポラーノの広場』。同一底本的分册已合并为一书。收入:風野又三郎、タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった、ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記、若い木霊。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 67,062 字 · 135 页
タネリは低く読みました。
「太陽は、
丘の髪毛の向うのほうへ、
かくれて行ってまたのぼる。
そしてかくれてまたのぼる。」
タネリは、つかれ切って、まっすぐにじぶんのうちへもどって来ました。
「白樺の皮、剥がして来たか。」タネリがうちに着いたとき、タネリのお母さんが、小屋の前で、こならの実を搗きながら云いました。
「うんにゃ。」タネリは、首をちぢめて答えました。
「藤蔓みんな噛じって来たか。」
「うんにゃ、どこかへ無くしてしまったよ。」タネリがぼんやり答えました。
「仕事に藤蔓噛みに行って、無くしてくるものあるんだか。今年はおいら、おまえのきものは、一つも編んでやらないぞ。」お母さんが少し怒って云いました。
「うん。けれどもおいら、一日噛んでいたようだったよ。」
タネリが、ぼんやりまた云いました。
「そうか。そんだらいい。」お母さんは、タネリの顔付きを見て、安心したように、またこならの実を搗きはじめました。