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かぜのまたさぶろう
ポラーノの広場
宮沢賢治『ポラーノの広場』。同一底本的分册已合并为一书。收入:風野又三郎、タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった、ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記、若い木霊。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 67,062 字 · 135 页
「又三郎だい。」とぶっきら棒に返事しました。
「ああ風の又三郎だ。」一郎と耕一とは思わず叫んで顔を見合せました。
「だからそう云ったじゃないか。」又三郎は少し怒ったようにマントからとがった小さな手を出して、草を一本むしってぷいっと投げつけながら云いました。
「そんだらあっちこっち飛んで歩くな。」一郎がたずねました。
「うん。」
「面白いか。」と耕一が言いました。すると風の又三郎は又笑い出して空を見ました。
「うん面白い。」
「昨日何して逃げた。」
「逃げたんじゃないや。昨日は二百十日だい。本当なら兄さんたちと一緒にずうっと北の方へ行ってるんだ。」
「何して行かなかった。」
「兄さんが呼びに来なかったからさ。」
「何て云う、汝の兄※は。」
「風野又三郎。きまってるじゃないか。」又三郎は又機嫌を悪くしました。
「あ、判った。うなの兄※も風野又三郎、うなぃのお父さんも風野又三郎、うなぃの叔父さんも風野又三郎だな。」と耕一が言いました。
「そうそう。そうだよ。僕はどこへでも行くんだよ。」
「支那へも行ったか。」
「うん。」
「岩手山へも行ったが。」
「岩手山から今来たんじゃないか。ゆうべは岩手山の谷へ泊ったんだよ。