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かぜのまたさぶろう
ポラーノの広場
宮沢賢治『ポラーノの広場』。同一底本的分册已合并为一书。收入:風野又三郎、タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった、ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記、若い木霊。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 67,062 字 · 135 页
生徒はみんな大急ぎで筆記帳に黄という字を一杯書きましたがとても先生のようにうまくは出来ません。
ネネムはそっと一番うしろの席に座って、隣りの赤と白のまだらのばけもの学生に低くたずねました。
「ね、この先生は何て云うんですか。」
「お前知らなかったのかい。フゥフィーボー博士さ。化学の。」とその赤いばけものは馬鹿にしたように目を光らせて答えました。
「あっ、そうでしたか。この先生ですか。名高い人なんですね。」とネネムはそっとつぶやきながら自分もふところから鉛筆と手帳を出して筆記をはじめました。
その時教室にパッと電燈がつきました。もう夕方だったのです。博士が向うで叫んでいます。
「しからば何が故に夕方緑色が判然とするか。けだしこれはプウルウキインイイの現象によるのである。プウルウキインイイとはこう書く。」
博士はみみずのような横文字を一ぺんに三百ばかり書きました。ネネムも一生けん命書きました。それから博士は俄かに手を大きくひろげて
「げにも、かの天にありて濛々たる星雲、地にありてはあいまいたるばけ物律、これはこれ宇宙を支配す。」と云いながらテーブルの上に飛びあがって腕を組み堅く口を結んできっとあたりを見まわしました。