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かぜのまたさぶろう
ポラーノの広場
宮沢賢治『ポラーノの広場』。同一底本的分册已合并为一书。收入:風野又三郎、タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった、ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記、若い木霊。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 67,062 字 · 135 页
」
「わかりました。それではすぐやります。」
ネネムはまっ白なちぢれ毛のかつらを被って黒い長い服を着て裁判室に出て行きました。部下がもう三十人ばかり席についています。
ネネムは正面の一番高い処に座りました。向うの隅の小さな戸口から、ばけものの番兵に引っぱられて出て来たのはせいの高い眼の鋭い灰色のやつで、片手にほうきを持って居りました。一人の検事が声高く書類を読み上げました。
「ザシキワラシ。二十二歳。アツレキ三十一年二月七日、表、日本岩手県上閉伊郡青笹村字瀬戸二十一番戸伊藤万太の宅、八畳座敷中に故なくして擅に出現して万太の長男千太、八歳を気絶せしめたる件。」
「よろしい。わかった。」とネネムの裁判長が云いました。
「姓名年齢、その通りに相違ないか。」
「相違ありません。」
「その方はアツレキ三十一年二月七日、伊藤万太方の八畳座敷に故なくして擅に出現したることは、しかとその通りに相違ないか。」
「全く相違ありません。」
「出現後は何を致した。」
「ザシキをザワッザワッと掃いて居りました。」
「何の為に掃いたのだ。」
「風を入れる為です。」
「よろしい。その点は実に公益である。