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マクシム・ゴーリキイのでんき

マクシム・ゴーリキイの伝記

宮本 百合子

幼年時代・少年時代・青年時代

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 60,543 字 · 120 页

青空文庫

ゴーリキイはその疑問を率直にある言語学の学生に伝えた。すると、その学生は「女のような仰山な表情」で「批評の権利」について説明した。

「批評する権利を持つためには――どれかの真理を信じる必要がある。君はどの真理を信じるかね?」

後年ゴーリキイはつつみかくすところなく回想の中に洩している。「こういう粗暴さは、私を焦立てた」と。

この時代からゴーリキイの心は溢れて詩になりはじめた。それが重苦しくて、荒削りなのはゴーリキイ自身にも感じられた。けれども、ゴーリキイにとって「自分の思想の最も深い渾沌を表現するのには」ほかならぬ自分の言葉で語るしかなく思われ、しかも、ゴーリキイは自分の詩を書く場合、彼を「いら立たせている何ものかに対する抗議の意味で殊更粗暴なものに」するのであった。この生々しく切迫し、本源的に八〇年代のインテリゲンツィアの非行動的な煩瑣饒舌に反抗している若者の内面的吐露を、彼の教師の一人であった数学の学生は、さて、どう理解したであろうか。

「言葉じゃないよ、錘だ!」

これがその学生の批評である。ゴーリキイは「生活の継児として自分を感じ」た。そして、時には「自分の智慧の発達を導いている力の重苦しさを経験」