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マクシム・ゴーリキイのはってんのとくしつ

マクシム・ゴーリキイの発展の特質

宮本 百合子

「改造」1936(昭和11)年8月臨時特大号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,694 字 · 33 页

青空文庫

という、殆ど革命的な新聞を発刊し、アンドレーエフや、ブーニン、クープリン、ソログープなどを動員したことがあった。その時、極く少数の作家がそれへの参加を拒絶したのであったが、ゴーリキイも自分の文筆の意味を全く正しく評価し、当時としては格外に高い原稿料を払ってその作をのせるという誘惑的な申出に勝った。

この場合、ゴーリキイが作家の価値及び一般急進的インテリゲンツィアの任務に加えた評価は、褒むべきであったが、彼のその気持は一九一七年の一大画期に於て、再びレーニンと対立するような結果を導き出した。

ゴーリキイは、「十月」の震撼的高揚の後にも「大衆の理解力は依然として外からの指導を必要とする力として残るであろう」としか考えられなかった。過去百年の間にロシアのインテリゲンツィアがなした準備、「彼等が労働者の心に社会的ヒロイズムと教養とを与えたから」こそ今、「十月」を招来せしめたと見るゴーリキイには、レーニンが、インテリゲンツィアを新社会の指導力の中心に置かぬことを理解しかねたのであった。彼がこの点について、自身の判断が誤っていたことを実感をもって理解したのは、おそらく一九二八年、ゴーリキイが五年ぶりでソヴェト同盟にかえって来た時ではなかったろうか。