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マルコポロから

マルコポロから

寺田 寅彦

「解放」1922(大正11)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,828 字 · 6 页

青空文庫

これはずいぶん思い切って虫の好過ぎる話である。

しかしよく考えてみると今の世でも多少これに似た事実がないでもない。例えば有為の青年を金や権勢や義理合やでとって抑えて本人のあまり気のすすまぬ金持の養子にしたり、あるいはあまり適当でない地位に縛り付けたりする事があるとすれば、これはいくらかカラザン人の遣り口に共通なところがありはしまいか。

この悪習は忽必烈が厳禁してやっと止まったとある。

この地方の人は始終毒を携帯して歩いている。もし何か自分の悪事が見付かって罰せられそうになると、大急ぎでその毒を仰いで自決をしようとする。これは存外見上げたものだと思われる。ところが困った事にはそういう罪人をつかまえる為政者の方でもちゃんとそれを承知しているから、あらかじめ犬の糞を用意しておいて、すぐにそれを食わせ、そうしてすっかり毒を吐き出させてしまう。これではせっかくの毒も何の役にも立たなくて、結局犬の糞を食わされるだけが余計な事になる訳である。それにもかかわらずこのような事が繰り返されていたとすれば、犬の糞の効力の及ばない場合が相当に多かったかもしれない。

これと同じ章に足を有った蛇の記載が出ている。