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マルおよびムレについて

マル及ムレについて

木暮 理太郎

「霧の旅」1937(昭和12)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,258 字 · 30 页

青空文庫

と読み方を注してあるのは、勢籠をムレと読むことが忘られて、大を王と改め、日本武尊に附会したもので、信憑し難き説であることは一見して明かであろう。しかも大群山の存在が附近住民に多大の利害関係を及ぼしたとは思われぬから、山体を崇めたものともいい兼ねる。私の考では、これは矢張り竜王即ち神(八俣の大蛇)を崇拝する先住民の信仰が其儘新来の住民によりて継承されていた遺蹟であろうと思うのである。百済や新羅に阿良、鳥礼、尉礼、鳥也などの地名があったことから察すると、是等の国人の一部の間に※(「雨かんむり/龍」、第4水準2-91-91)神を崇拝する原始信仰が行われていたのであろうとは坪井博士の説である。阿良、烏礼等は孰れもアラー、ウラーの韓音を示す為に借用された漢字で、大蛇即ち竜王に外ならない。我国の古代民族にも※(「雨かんむり/龍」、第4水準2-91-91)神を崇拝したもののあることは、曾て「二、三の山名について」と題する文中に述べて置いた。百済人が本国からこの信仰を伝来したか、或は既に先住していた原始民族の信仰に合流したか、その孰れであるかは不明であるが、山と竜王とが既に因縁浅からぬ上に、ムレ、ウレ、ウラが又互に密接な関係を有しているので、文化の進んでいた百済人のムレと云う言葉の中に山も竜王も包含されて、ここに山を大群