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マルおよびムレについて

マル及ムレについて

木暮 理太郎

「霧の旅」1937(昭和12)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,258 字 · 30 页

青空文庫

つるのこほりを移してそみる

という歌には

此歌註云、風土記に甲斐国鶴郡有二菊花山一、流水洗レ菊、飲二其水一人寿如レ鶴云々。

とあって、これこそまさしく鶴郡の由来を説明したらしい「古風土記」の逸文であるから、鶴の字が古くから用いられていたことが察知されるのである。其他の

かひのくににまかり申に忠岑

君かためいのちかひにそ我はゆく

つるてふこほり千代をうるなり

題不レ知八条院六条

よろつ代を君にゆつらむためにこそ

つるのこほりの早苗とるらめ

甲斐へまかりける人に遣はしける伊勢

君か代はつるのこほりにあえてきね

さためなき世のうたかひもなく

の如き、皆これに依拠して鶴の意に用いられている。

『甲斐国志』はまた

里人云、古ヘヨリ本郡ニ白鶴二羽アリ、富士ノ麓吉田、明見、忍草等、水辺ノ地ヲ求メ常ニ遊ベリ、本ハ三羽ナリ、元禄十一戊寅三月一鶴死ス、里人公庁ニ訴ヘ、令シテ下吉田ノ北原ニ埋メ、塚ヲ築キ号二鶴塚一ト、今尚存セリ、蓋郡名ノ起ル所ナリト云。

といえる俗伝を古蹟の都留郡の部に掲げているが、尚お「残簡風土記」の細註に郡留或は連葛とあるに拘泥して、