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マーカス・ショーとレビューしききょういく

マーカス・ショーとレビュー式教育

寺田 寅彦

「中央公論」1934(昭和9)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,879 字 · 18 页

青空文庫

連句では一景から次の景またその次の景への推移と連絡の必然性によって呼び出される暗示の世界に興味の大半がつながれているが、レビューではそういう連鎖の必然性はほとんど閑却されているようである。それ故に、連句三十六景のコンチニュイティは容易に暗記が出来るが、レビューの二十八景の順序は到底覚えられそうもないのである。ともかくもこの二つのものの比較は色々の暗示の光を与える。一方では連句的レビューの可能性が示唆され、他方ではまたアメリカン・レビュー的連句の開拓も展望される。

筋の通った劇よりも、筋はなくて刺戟と衝動を盛り合わせたレビューの流行る現代に、同じような傾向が色々の他の方面にも見られるのは当然のことかもしれない。それについて先ず何よりも先に思い当るのは現代の教育のプログラムである。

習字と漢籍の素読と武芸とだけで固めた吾等の父祖の教育の膳立ては、ともかくも一つのイデオロギーに統一された、筋の通り切ったものであった。明治大正を経た昭和時代の教育のプログラムはそれに比べてたしかにレビュー式である。盛り沢山の刺戟はあるが、あとへ残る纏まった印象はややもすれば甚だ稀薄である。