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メーデーとふじんのせいかつ

メーデーと婦人の生活

宮本 百合子

「メーデーについて」NHKラジオ、1947(昭和22)年5月1日放送

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,348 字 · 7 页

青空文庫

つとめのある方は、そうして行進に出かけ、さて、うちにのこった婦人たちは、この一年に一度のメーデーを、どうおすごしになるでしょうか。メーデーだと云っても、決して遅配のお米が配られては来ません。この二三ヵ月、また一段と高くなった物価も、せめてメーデーだけは、と割びきもありません。メーデーであるきょうも、行進とともにすすむ歌声をよそに家庭の婦人は、小さい子供たちの手をひき背中に赤ちゃんをおんぶして、汗ばむようになったのにさっぱりした袷もないと思いながら、闇市で晩のお惣菜をあさらなければなりません。メーデーは、外で働いている人たちだけのもの、家庭の心配から解放されることのない日本の家庭婦人にとって、メーデーは、ひとのことのように見えるかもしれません。

でも、みなさま。ほんとに家庭の婦人にとって年毎のメーデーというものは、ひとのことなのでしょうか。ただ、よけい、靴下のつぎの仕事がふえるというだけのことなのでしょうか。

世界で、はじめてメーデーを働くものの行進の日ときめて、それを実行しはじめたのはアメリカの労働者でした。一八八六年、日本でいえば明治十九年の五月一日に、アメリカ全国の労働組合員数百万人が、八時間の労働、八時間の休息、八時間の教育を! というスローガンをかかげて行進しました。