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メーデーにうたう

メーデーに歌う

宮本 百合子

「働く婦人」二号、日本民主主義文化連盟、1946(昭和21)年6月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,915 字 · 8 页

青空文庫

気がついてみると、きょうのメーデーに、往来で見物している人の数はいたって少ない。東京の人口が、もとからみると減っている。それもあるが、しっかりと職場についている勤労者は、みんな組合の行進に加わってしまっているからなのでもある。

メーデーの日、モスクワの街々は、かえって深閑としている。あらゆる人群は、モスクワの中央部へ、赤い広場へと注ぎこまれて、すこし離れた街筋は、人気ない五月の空に、街頭ラジオが溢れだす音楽と大群集の歓呼の声をまいている。夕方、行進が解散になり、赤いプラカードの林が陽気な歌にゆれながらこの地区に戻って来る迄、モスクワ中の感動は、赤い広場という一つの心臓のぐるりに熱く燃えてあつめられているのである。

益々元気旺盛な行進がつづいて、うれしい思いが募るにつれ、私は、もっと音楽をと願った。もっといろいろの歌を、と心に叫んだ。来年こそ、私たちは、もっともっと素晴らしい音楽を先頭に立てて行進するだろう。紙や布もたっぷり買って種々様々の意匠をこらし、そこの職場の飾物もこしらえるだろう。そういうよろこびは、すべて、私たち日本の働く人民が、来年五月を迎えるまでの一年の間に、どれだけ自分たちの団結の力、組織の力をつよめ、日本を働いて生きるものの幸福のための社会にしたかということを照りかえして見せる鏡となる