轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

モスクワのつじばしゃ

モスクワの辻馬車

宮本 百合子

「読売新聞」1931(昭和6)年1月1日、4日、6~9日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,305 字 · 17 页

青空文庫

モスクワ人は馬車にあふれる程荷物をつみこみ、而も、たとえばステーション前などではスラブ人的忍耐を極度に活用して、賃銀協定をやるのであった。こういう事情がなかったら、裏のいたんだ外套をそのまま着ている小さい日本女が、どうして二ルーブリ、十五分に出す決心をしたろう。

日本女は、写実劇場まで行かずサドー※(濁点付き片仮名「ワ」、1-7-82)ヤの交叉点を一寸越したところで馬車を止めさせた。彼女は歩道の菩提樹のわきへおり、御者台にあおむいて云った。

――私は約束通り二ルーブリ払うよ。――一ルーブルこまかいのを持ってる?

――三ルーブリより少い金は受けとらない!

――このあたいはよくとも悪いあたいじゃない、私は一コペックだって増す気はないんだ。

――三ルーブリ! 三ルーブリ!

御者は、腰をひねって歩道に立っている日本女に向って黒い髯のある顔を下げ、太い声をひっぱって云った。

――三ルーブリ……わかりましたかね? それをあんたは払わなくちゃならないんだ。初めっから寄り道するって云わなかったじゃないか。

日本女は強情そうな目付で御者をじっと見、はっきり一言一言区切って云った。