轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

モスクワのつじばしゃ

モスクワの辻馬車

宮本 百合子

「読売新聞」1931(昭和6)年1月1日、4日、6~9日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,305 字 · 17 页

青空文庫

もうすでに寄り道して来たのだ。やはりこののろさで。

大通りを左に曲り、暗いごろた石道を数丁行って御者は外側を青く塗った一軒の家の前へ馬車を止めた。彼は、しきりに外側から家を眺めたのち御者台の上でうなった。

――畜生! どこへか引越しちまった。

往来に向いた低い明るい窓の内で、ルバーシカを着た若者が数人で談笑しているのが見える。外までその声はもれず、燈火だけ人通りのない道へさしている。

御者は日本女にくってかかった。

――へ? どうしたらいいんだ! ここにこの間まで警察があったのがなくなっちまってる!

――モスクワに警察は一つじゃないだろ。おだやかな口調で日本女が答えた。

――巡査は往来にだっているよ。

「見りゃあまだ年もとってないのに、こんな目に人を会わせる、恥だ!」「あんたは不正直だ。こんな客にははじめて出喰した!」

日本女の返答は一つだ。

――私は正しい価を云ったんだし、正しい約束して乗ったんだから負けない。私はお前のソヴェト権力と一緒に正しいところはどこまでも突っ張るよ。

プーシュキン記念像の下まで戻って来てしまった(サドー※(濁点付き片仮名「ワ」