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モノグラム

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江戸川 乱歩

「新小説」春陽堂、1926(大正15)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,034 字 · 22 页

青空文庫

何だか神秘的な感じなんです。ひまつぶしや、退屈をまぎらす為ばかりではなく、そういう風に疑問が漸層的に高まって来ると、執拗にどこまでも検べて見たくなるのが人情でしょうね。

が、結局分らないのです。多少あせり気味で、思い出そうとすればする程、頭が混乱して、二人が以前から知合いであることは、分り過ぎる程分っているではないか、なんて思われて来たりするのです。でも、いくら話して見ても、要領を得ないので、私達は又々笑い出す外はないのでした。

併し要領は得ないながらも、そうして話し込んでいる内に、お互に好意を感じ、以前はいざ知らず、少くともその場からは忘れ難い馴染になって了った訳です。それから田中のおごりで、池の側の喫茶店に入り、お茶をのみながら、そこでも暫く私達の奇縁を語り合った後、その日は何事もなく分れました。そして分れる時には、お互の住所を知らせ、ちとお遊びにと云い交す程の間柄になっていたのです。

それが、これっきりで済んで了えば、別段お話する程のことはないのですが、それから四五日たって、妙なことが分ったのです。田中と私とは、やっぱりある種のつながりを持っていたことが分ったのです。