轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

モンアサクサ

モンアサクサ

坂口 安吾

「ナイト 創刊号」ナイト、1948(昭和23)年1月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,629 字 · 10 页

青空文庫

ある。

浅草もちかごろは変ったそうだ。お客が変った。

タロちゃんの言葉によると、終戦後、日本が変ったと人々は云う。然し、どこがどう変ったかとなると、誰もハッキリこうだと云えないものであるが、その日本の変りという奴をイヤというほどハッキリ見せつけられるのが、浅草のお客だそうである。

森川信だの清水金一などゝいう浅草育ちの一座を、殆ど知らない。そういう一座の名前によって、客が集らなくなった。問題はダシ物一つだそうである。

そこでタロちゃんはニヤニヤしながら、こう言うのである。

「つまり、ヘソですよ。ヘソを出しゃ、お客がくるんだからね。ヘソなんか見たって、面白おかしくもないじゃないか。ネエ。そうだろう。誰のへソだって、ヘソにあんまり変りはないよ。自分のへソを鏡に見たって、いたゞけるシロモノじゃないじゃないか。ヘソを見て、よろこぶんだからネ、ひでえことになりやがったよ」

ちなみに、ヘソレビュウという奴を書いて、日本演劇史に新紀元をつくった脚本書きは、ほかならぬタロちゃんなのである。まことにどうも、よからぬ男だ。

然し、ダシ物によってしか客が来なくなったということは、浅草の一大進歩と申すべきだろう。