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ヤミろんご

ヤミ論語

坂口 安吾

「世界日報 第五五二号~第六九二号」1948(昭和23)年2月23日~7月12日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,308 字 · 36 页

青空文庫

酔っ払った我々が無礼な言辞を申上げても、ゲキリンして一文を草されたという話もきかない。

私は元来、中性という新動物の発生は極力これを阻止したいと念願するほど教養の低い男であるから、山川菊枝部長の識見には理解のとゞかぬウラミがある。だから私は、御婦人というものは、宴会ともなれば、オサンドンの代りをさせられるものではなくて、すゝんでして下さる性質のものであり、又、酔っ払いの男などより教養も高く、情意もひろく寛大であるから、暴言などは許して下さるものだろう、とアベコベな風に考えていたのである。

私は帝銀事件の犯人が怖い。青酸カリをのんでバタバタ倒れる人々を冷然と見ている姿を考えると、いさゝかゾッとするのであるが、火事です、消防署へ、という電話をうけて、スト中だからダメです、とスイッチをきったという交換嬢の姿を考えると、帝銀の犯人よりも、もっと怖ろしくてもっとビリビリふるえあがってしまうのである。だから私は、満場一致女先生の退職勧告を決議したという先生方の怖れおのゝく気持にはいさゝか同情をもつのである。

馬鹿殿様観念論

京大生が共学の女学生に心中をせまって拒絶され、メッタギリに刺殺したという事件が起った。