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ヨーロッパてきせいかく ニッポンてきせいかく
ヨーロッパ的性格 ニッポン的性格
「歴史小説 創刊号、第一巻第二号」1948(昭和23)年10月1日、11月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,123 字 · 33 页
物事をそれらの物事そのものの個性によって見る、そのもの自体にだけしかあり得ないというような根本的にリアルな姿を、取得しておらないのであります。そういうことが、まことに不得意なのであります。
でありますから、実例をとって申しますと、織田信長が本能寺で殺されました時のことを、「信長記」という本がありまして、それに書いてあるのを読んでみますと――
「明智光秀の軍隊はやにわに亀岡から下りて参りまして、本能寺を取り囲んで、ドッとばかり勝鬨をあげて、弓、鉄砲を打ちこんだ。本能寺のほうでも眼をさまして、中から豪傑連中が飛び出して、明智勢のなかに斬り込んだ。初めのうちは、明智勢がたじたじとなりましたが、そのうちにそれらの連中が討死しますと、だんだん寄手の勢いが強くなった。織田信長までが寺の廊下へ現われまして、片はだ脱いで槍を持ち出して、近づくやつを突き落した。そのうちに矢が片腕に当りましたので、部屋の中央にもどって来て、火をかけて自殺した」
――こんな風に書いてあるのであります。
ところが、この当時に、この本能寺という寺のあった所から、約一丁ばかり離れた場所に、京都に於けるたった一つのキリシタンの教会があったのでありますが、この教会におりましたヨーロッパ生れの神父たちは、真夜中に戦争らしい物音に眼をさましたのであります。