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ヨーロッパてきせいかく ニッポンてきせいかく

ヨーロッパ的性格 ニッポン的性格

坂口 安吾

「歴史小説 創刊号、第一巻第二号」1948(昭和23)年10月1日、11月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,123 字 · 33 页

青空文庫

なのだ、という人生観がずーっと流行していたからであります。それが絶対的な権威をもったニッポン的人生観であったわけであります。こういうバカバカしい事が、ニッポン人一般の、物事の観察法、世界観といいますか、人間観察というものを大変に遅鈍にさせまして、実態にふれることのない、抽象的な考え方をはびこらせることになったのであります。抽象的にならざるを得なかったのであります。弱いのであります。

前にも申しました通りに、ニッポンと西洋とが接触しましたのは四百年ほど前のことでありまして、キリスト紀元の一五四三年、十六世紀、ニッポンで申しますと天文十二年であります。ちょうど、足利末期の戦国時代の始まりかけた時であります。但しこの時は、ヨーロッパ人は初めからニッポン本土へ来ようと思っていたのではありません。シナの船が、暴風に吹き流されて、種子ヶ島へ漂着したのであります。そのシナ船には、ポルトガル人が三人乗っておりました。

この三人のポルトガル人が鉄砲を持っておりました。この時にニッポンに初めて鉄砲が伝ったのであります。これが例の、われわれが種子ヶ島と云っておる、あれであります。