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ランプのいろいろ

ランプのいろいろ

寺田 寅彦

「東京朝日新聞」1907(明治40)年7月15日・16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,199 字 · 7 页

青空文庫

タングステンというはクロム属の金属元素で、これまではごく硬い鋼鉄を造るに用いられていた。これを針金にして白熱灯の炭素線に代用すると大変に電力の経済になる。普通の炭素ランプでは一燭光につき三・五ワットくらいの電力を要するのがこのランプではわずか一ワットで足りる。すなわち約七割の利益になる。この点から云えば非常に得なランプであるが、ただこの針金が脆くて折れやすいのが欠点である。しかし追々広く用いられる見込みだという事である。こんな脆い金属だから普通の方法では針金にする事が出来ぬ。それでこの針金を作る方法が色々工夫された、例えば細粉にした金属を膠でこねて糊状にし、これを糸にした後、膠だけ焼いて取るとか、またこの金属の酸化物をこねて糸にした後これを還元させるとかする。コロイド・ランプという名で売出しているのもやはりタングステン灯の一種である。弧灯と白熱灯の外に、なお素人のあまり知らぬ有用な電灯が二種ある。すなわちネルンスト灯と水銀灯である。

ある金属の酸化物例えばマグネシアのごときものは普通の温度では電気を通さぬが、熱せられると電流を通じ、そのために灼熱して強い白光を出す。