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ルルとミミ
ルルとミミ
とだ けん
「九州日報」1926(大正15)年3~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,628 字 · 24 页
「ルル兄さま……」
けれども、広い御殿のどこからも何の返事もありません。はるかにはるかに向うまで続いている銀の廊下が、ピカピカと光っているばかりです。
ミミは悲しくなりました。
「兄さんはいらっしゃらないのか知らん」
と思いました。
その時でした。御殿の奥のどこからか、
「カアーンカアーン」
という鉄鎚の音と一所に、懐しい懐しいルルの歌うこえが、水をふるわせてきこえて来ました。
「ミミよ ミミよ オオ いもうとよ……くらい みずうみ オオ ならぬかね……ひとり ながめて オオ なくミミよ
「ちちは ならない アア かねつくり……あにも ならない アア かねつくり……ミミを のこして アア みずのそこ
「ミミよ なけなけ エエ みずうみが……ミミの なみだで エエ すむならば……かねも なるやら エエ しれぬもの」
湖の女王様は金剛石の寝椅子の上に横になって、ルルの歌をきいておられました。そうして、ルルが陸に残したミミのことを悲しんで歌っていることを知られますと、湖の女王様は思わず独り言を云われました。
「ああ……私は可哀そうなことをした。ルルを湖の底へ呼ぶために、私はルルが作った鐘を鳴らないようにした。