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ルルとミミ
ルルとミミ
とだ けん
「九州日報」1926(大正15)年3~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,628 字 · 24 页
その時、睡蓮の一つがユラユラと揺れたと思うと、小さな声でミミにささやきました。
「可哀そうなお嬢さま。あなたはもしお兄さまにお会いになりたいなら、花の鎖をお作りなさい。そうして明日の晩、お月様が湖の真上にお出でになる時までに、その花の鎖が湖の底までとどく長さにおつくりなさい。その鎖につかまって、湖の底の真珠の御殿へいらっしゃい。お兄さまのルルさまを湖の底へお呼びになったのは、その女王様です」
睡蓮の花がここまで云った時、あたりが急に薄暗くなりました。お月様が黒い雲にかくれたのです。そうしてそれと一所に、睡蓮の花は一つ一つに花びらを閉じ初めました。
ミミはあわててその花の一つに尋ねました。
「睡蓮さん。ちょっと花びらを閉じるのを待って下さい。どうして真珠の御殿の女王様は兄さんをお呼びになったのですか」
けれども、暗い水の上の睡蓮はもう花を開きませんでした。
「湖の底の女王様は、どうして私だけをひとりぼっちになすったのですか」
とミミは悲しい声で叫びました。けれども、湖のまわりの睡蓮はスッカリ花を閉じてしまって、一つも返事をしませんでした。お月様もそれから夜の明けるまで雲の中に隠れたまんまでした。