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レーリーきょう(ロード レーリー)
レーリー卿(Lord Rayleigh)
寺田 寅彦
「岩波講座 物理学及び科学」岩波書店、1930(昭和5)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,439 字 · 55 页
同時にいたずら好きの天分をも発揮して、ガス管内に空気を押し込み、先生の祈祷が始まると燈火が自然に消えるという趣向を案出し実行した。その頃彼の父は彼に農業の趣味を養うために郷里で豚を飼わせ、その収入を彼の小使銭に充てた。この銭は多くは化学材料を買うために費やされ、ある時は燐で指を焼いた。後年ケルヴィン卿が化学会の晩餐演説でこの事を引合に出し、レーリー卿は十二歳のときに燐で指を焼いたそうだが、自分は八十二歳のときに全く同じ火傷をしたと云った。
十四歳のとき Harrow に入ったが、二年級になってから胸の病を得て退学した。生命もどうかと気遣われたが幸いに快癒したので今度は Rev. G. T. Warner の学校に入ってそこで四年間の修業をした。その間に一度 Cambridge の Trinity College におけるある Minor Scholarship の試験を受けたが失敗した。師の Warner は「今度はいけなかったが決して二度とは失敗しまい」と云った。その頃の彼の悪戯の傑作は、Milton の sonnets をそのまま自作のような顔をして田舎新聞に投書したことである。