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ウィタ・セクスアリス
ヰタ・セクスアリス
「昴」1909(明治42)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,941 字 · 119 页
中にも、土曜日の午後に白足袋を穿いて外出するような連中は、人間ではないように言われる。僕の性欲的生活が繰延になったのは、全くこの三角同盟のお陰である。後になって考えて見れば、若しこの同盟に古賀がいなかったら、この同盟は陰気な、貧血性な物になったのかも知れない。幸に荒日を持っている古賀が加わっていたので、互に制裁を加えている中にも、活気を失わないでいることを得たのであろう。
或る土曜の事である。三人で吉原を見に行こうということになる。古賀が案内に立つ。三人共小倉袴に紺足袋で、朴歯の下駄をがらつかせて出る。上野の山から根岸を抜けて、通新町を右へ折れる。お歯黒溝の側を大門に廻る。吉原を縦横に濶歩する。軟派の生徒で出くわした奴は災難だ。白足袋がこそこそと横町に曲るのを見送って、三人一度にどっと笑うのである。僕は分れて、今戸の渡を向島へ渡った。
同じ歳の夏休は、やはり去年どおりに、向島の親の家で暮らした。その頃はまだ、書生が暑中に温泉や海浜へ行くということはなかった。親を帰省するのが精々であった。僕のような、判任官の子なんぞは、親の処に帰って遊んでいるより上の愉快を想像することは出来なかったのである。