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ウィタ・セクスアリス
ヰタ・セクスアリス
「昴」1909(明治42)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,941 字 · 119 页
句読を切りながら直して行く。読んでしまうのと直してしまうのと同時である。それでも字眼なぞがあると、標を附けて行かれるから、照応を打ち壊されることなぞはめったに無い。度々行くうちに、十六七の島田髷が先生のお給仕をしているのに出くわした。帰ってからお母様に、今日は先生の内の一番大きいお嬢さんを見たと話したら、それはお召使だと仰ゃった。お召使というには特別な意味があったのである。
或日先生の机の下から唐本が覗いているのを見ると、金瓶梅であった。僕は馬琴の金瓶梅しか読んだことはないが、唐本の金瓶梅が大いに違っているということを知っていた。そして先生なかなか油断がならないと思った。
*
同じ歳の秋であった。古賀の機嫌が悪い。病気かと思えばそうでもない。或日一しょに散歩に出て、池の端を歩いていると、古賀がこう云った。
「今日は根津へ探検に行くのだが、一しょに行くかい」
「一しょに帰るなら、行っても好い」
「そりゃあ帰る」
それから古賀が歩きながら探険の目的を話した。安達が根津の八幡楼という内のお職と大変な関係になった。女が立て引いて呼ぶので、安達は殆ど学課を全廃した。