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ヴァリエテ

ヴァリエテ

宮本 百合子

「改造」1928(昭和3)年1月1日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,156 字 · 11 页

青空文庫

「あら! 本当にね、何ていいましょう!」

絹子と佳一は、おかしそうに、自然のおかしさをやや誇張した笑い声で笑った。やがて、佳一が、真面目になって策を授けた。

「じゃ御都合わるかったら、電話で、こないだの話は、向うから都合悪いといって来たからって、いって下さいませんか。安達さんへテニス・コート拝借するんです」

「ああ、名案! 名案! あなたそんなに見えていらしってなかなかなのね」

安達というのは、絹子の実家で、池袋にテニス・コートを持っているのであった。

出られたら、十二時半頃、佳一の家へ寄ることに一旦決りかけたが、絹子が、

「でも、なんだか……」

と首を曲げた。

「お母様にお正月御挨拶申上げたっきりで、遊びにだけおよりするの、現金すぎて少し極りが悪いわ」

結局天気がよくて、榎が留守になったら、新宿の停留場で待ち合わすことになった。

「とんだお伴おさせ申すわね」

「いいえ!」

佳一は真面目な、青年らしい面持ちで、頭を振り、対手の言葉を否定した。

その相談が纏まると、何か今日の用がすんだような心持になり、佳一は程なく椅子から立ち上った。

「――どうも失礼……じゃ」

「そうお」