轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひとつのあいじょう

一つの愛情

豊島 与志雄

「新小説」1949(昭和24)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,635 字 · 22 页

青空文庫

私はその時それを知りませんでした。音もなにも聞えなかったのでございますもの。私は生活の能力が何もないのに、つまらぬことばかり思ったり考えたりするバカなので、きっと罰があたったのでございましょう。ほんとうに私のようなことでは仕方ございませぬ。も少し生活の基礎をしっかり立てなければなりませぬ。これからは元気を出して、何でも自分のことは自分でしようと思います。けれど、やっぱりぼんやりしたり、果知れぬ淋しさに襲われたり致します。冷たい寒い淋しい風が胸を吹き通ります。それが堪えられませぬ。

私は先生のお夢をよくみます。けれど、なぜかお顔がはっきりわかりませぬ。

先生がもし、どんなところでもかまわぬといって、私のような者のところへでもお出で下さるようなことが、夢にでもございましたら、私はどんなにうれしいことでございましょう。けれど、そんなこと思うのさえ、きっと罰があたりますでしょう。

下らぬことばかり申上げました。お許し下さいませ。私は先生をお失いしはしないかとそればかりが恐ろしゅうございます。その恐ろしさを、私はいつ胸に深く感じなければならないのでございましょうか。