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せんきゅうひゃくさんじゅうしちねんをおくるにほん

一九三七年を送る日本

戸坂 潤

「改造」改造社、1937(昭和12)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,500 字 · 23 页

青空文庫

かくて、折角の文化勲章も芸術院も、肝心の文化や思想の現役の大家を網羅することが出来ずに、思想的にあまりさしさわりはないような文献学者や絵かきの類をよせ集める他はなかった。日本の支配者による「文化」の活用がどんなに制限を有つものであるかを、国民はこの問題で、最も切実に理解したのである。官僚は遂に、少なくとも今日の処、文化的に指導力を有ち得ないということ、少なくともこと文化に関する限りは、文化存在の社会条件について政府の顧慮を労わす種類のことを別とすると、政府は頼みにするに足りないということ、それを世人は今更ながら知った筈だ。

事変に関して英米その他に於ける日本の評判の悪いことは、宣伝に於て支那より劣るところがあるからだというので、多くの半公式日本代表が派遣された。それは前にも触れた。評判の悪いのが宣伝の下手なせいかどうかは今問わぬとして、とに角宣伝が下手だということは本当らしい。と云うのは、宣伝は決してただの雄弁や何かではなくて可なり複雑な文化活動なので、之が上手であるためには当局によほど文化指導的な訓練がなくてはいけないのだ。処が日本の当局は、国民のデモクラティックな発達を抑えることによって、国内的に宣伝の必要を持たずにすんだが、その代りに宣伝という文化的訓練を自分自身の身につける機会がなかったので、こういう