轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いちにちいっぴつ

一日一筆

岡本 綺堂

「木太刀」1911(明治44)年12月、1912(明治45)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,151 字 · 7 页

青空文庫

人は総て死を期している。随って混雑極まる乱軍の中にも、一種冷静の気を見出すことが能る。しかもここの町に奔走している人には、一定の規律がない、各個人の自由行動である。人は総て死を期していない、寧ろ生きんがために焦っているのである。随って動揺また動揺、何ら冷静の気を見出すことは能ない。

株式市場内外の混雑を評して、火事場のようだとはいい得るかも知れない。軍のような騒ぎという評は当らない。ここの動揺は確に戦場以上であろうと思う。

二 ヘボン先生

今朝の新聞を見ると、ヘボン先生は二十一日の朝、米国のイーストオレンジに於て長逝せられたとある。ヘボン先生といえば、何人もすぐに名優田之助の足を聯想し、岸田の精水を聯想し、和英字書を聯想するが、私もこの字書に就ては一種の思い出がある。

私が十五歳で、築地の府立中学校に通っている頃、銀座の旧日報社の北隣――今は額縁屋になっている――にめざましと呼ぶ小さい汁粉屋があって、またその隣に間口二間ぐらいの床店同様の古本店があった。その店頭の雑書の中に積まれていたのは、例のヘボン先生の和英字書であった。

今日ではこれ以上の和英字書も数種刊行されているが、その当時の我々は先ずヘボン先生の著作に縋るより他はない。