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いっぽんのぎんのはり
一本の銀の針
小川 未明
「少年倶楽部」1927(昭和2)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,687 字 · 10 页
「どうかして、兄さんが無事に、出ていって帰ってこられるように。」と、祈ったのであります。
その日も、妹は、兄のことを心配しながら道を歩いてくると、さびしいところに小川が流れていて、そこに、狭い橋がかかっており、一人のおばあさんが、その橋を渡ることができずにこまっていました。
だれも、人が通らなかったので、だいぶ長い間ここに、こうしておばあさんは立っているものと思われたのであります。
妹は、そのおばあさんを見ると気の毒になりました。自分がどうかして手でも引いて渡らせてあげようと、そばへいってみますと、おばあさんは盲目でありました。
妹は、びっくりしました。こんな盲目がどうして、このあたりまで一人でやってこられたろうかと思われました。
「どんなにか、おばあさん、お困りでしたでしょう。私が手を引いてあげます。」と、妹はいいました。
すると、盲目のおばあさんは、
「どうかおぶって、渡しておくれ。」と、それがあたりまえであるというような調子で答えたのです。
妹は、ずいぶん横着なおばあさんだと心に思いました。また自分がおぶっては、あぶなくて渡られないからでした。