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まんのし

万の死

小川 未明

「新児童文化 第4冊」1949(昭和24)年11月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,457 字 · 9 页

青空文庫

まのわるいときというものは、すべて、そういうものさ。気のついたときは、もうおそい。しかたがないから、おつるさんは、問屋へ引きかえしたんだよ。」

「かわいそうにな、問屋は貸さなかったんでしょう。」

「そうだな。おつるさんは、はたらいて返すから、どうかお金を貸してくださいと、主人に頼んだのだよ。思いやりも、情けもない主人は、すげなく断ったのです。」

「なんといって。」と、万は、顔を赤くしながら、こみ上がってくる感情を、押さえきれませんでした。

「あんまり、あんたは虫がよすぎる、この金の出入りのせわしい暮れに、自分の不注意から金をなくしたといって、また貸せというのは。こちらもいそがしいので、いちいちたのみをきいていられない。なんとおっしゃっても、今日はだめです、ってね。」

「困るからたのむんじゃないか! それから、どうしたの?」

「いつまでも、家では、おつるさんが帰らないので大騒ぎとなり、いつしか村じゅうのものが飛び出して、夜中まで方々を探したがわからなかった。二、三日すると、死骸が川下の方へ浮かんだのだ。その当座は、みんなが、問屋の主人をわるくいわないものはなかったよ。