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みっつのおにんぎょう
三つのお人形
小川 未明
「キング」1928(昭和3)年11月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,464 字 · 11 页
紳士は、電車に乗ると、うとうと居眠りをしました。そして、ふと気がつくと、乗り越していましたので、びっくりして飛び降りました。家へ帰るまで、人形をどこかへ忘れてきたことに気づかなかったのであります。
不幸な、この人形は、それからいろいろのめにあいましたが、その年の夏の末の時分に、ほかの古道具などといっしょに、露店にさらされていました。
「おちぶれても踊っているなんて、のんきなものですね。」と、こちらのすみで、すずりと筆立てが、あちらの人形を見て冷笑していました。
しかし、露店の主人は、人形を大事にしました。車に乗せて、はこぶ時分にも、手や、足をいためはしないかと新聞紙で巻いて、できるだけの注意をしたのです。
「美しいものは、ちがったものだ。」と、ほかの古道具たちは、自分らが、そのようにかわいがられないので、不平をもらしたものもあります。しかし、人形は、昔のことを思い出すたびに、お友だちは、いまごろは、それぞれおちついて、平和に暮らしているであろう。自分ばかりは、いまだに身の上が定まらぬのを悲しく思いました。ある日のことです。いつものごとく、露店にならべられると、かたわらに、新しくどこからか売られてきた、電気スタンドがありました。