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みっつのかぎ

三つのかぎ

小川 未明

「赤い鳥」1925(大正14)年12月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,988 字 · 11 页

青空文庫

中には、ただ一枚の字を書いた紙がはいっていたのです。

「わたしは、三つのかぎをいろいろな方法で捨ておきました。きっと、それらは、私のめぐりあいたいと思う人々の手によって拾われるであろうと思います。もしその人が広い土地が欲しいなら、その土地をあげましょう。もし、その人が芸術が好きなら、いろいろの珍しい宝をあげましょう。もし、その人が、わたしと結婚を希望されるなら、わたしは、その勇敢な方の妻となります……。」という意味のことが書いてありました。

三人は、この文字を読んで目を輝かしました。

「先生、私たちは、どこへいったらこの姫君にあうことができますか?」と、三人は、学者に問うたのです。すると、学者は、三人の顔を見て冷ややかに笑いながら、

「もう、取りかえしのつかない大昔のことだ。すくなくも三百年は、その時分からたっていよう……。」と、学者は、答えたのであります。

三人は、がっかりして、おのおのの持っているかぎを三つとも博物館に収めて、いずこへとなく、思い思いに去ってゆきました。

「もう、こんなかぎが、なんの役にたとう……。」

彼らが、口々にそういってゆく後ろ姿を、学者は見送りながら微笑していました。