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みっつの「おんなだいがく」

三つの「女大学」

宮本 百合子

「婦人公論」1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,822 字 · 14 页

青空文庫

貝原益軒の「女大学」を評して、常に女に与えられている「仕える」という言葉を断じて許さずといったのは諭吉であったが、菊池寛氏の「新女大学」には、良人に「よく仕え」と無意識のうちにさも何気なく同じつかいかたがよみがえらされて来ている。歴史をくぐるこの微妙な一筋の糸はそもそも女の生活のどこにどこまで縫いつけられているのだろう。

婦人に性的知識が欠けていることから生じる不幸について。恋愛に処する道について。職業婦人としての社会的進退について。四十年の社会の推移は、第二の「新女大学」に、おのずからこれらの項目をふやさしている。けれども、たとえば良人の貞潔の問題にしろ、女の側からとして説かれている場合には、本質的に何と男の古い持ものを肯定した形で、良人の気持を理解する妻のかしこさとして出されているだろう。ここでは正面から議論する妻の真情は買われていない。おだやかにまとめる、それが女の機智と手腕とされているのだ。けれども、放蕩な良人をもつ妻が、敏捷に良人の気分を察して、今夜は芸者と遊びたいと思っていると見てとれば丸髷に結って純日本風の化粧をする。きょうはバアを恋しがっていると思えばいち早く洋装になって酒をすすめるために、遂にその良人は、酒場へ行っても「バアの酒は馬鹿らしくて高くて、しかも話相手の女は教養がない。