轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さんりょうせいべえとめいばあさづき

三両清兵衛と名馬朝月

安藤 盛

「少年倶楽部」講談社、1931(昭和6)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,144 字 · 17 页

青空文庫

清兵衛は、自分の手柄よりも、愛馬朝月の戦功を永久に残しておきたいのである。

「うむ、その方の心のままにいたせ」

「朝月、おゆるしが出たぞ。戦功帳にきさまの名がのるのだ。さあ、いっしょにゆこう――」

朝月はうれしそうにいなないた。

「三両で買った馬も、こうなるとたいしたものだ」

「うらやましいな」

「たとえ千両、万両出した馬でも、主人にやさしい心がなかったら、名馬にならぬ。馬よりも清兵衛のふだんの心がけが、いまさらうらやましくなってきたぞ」

去ってゆく馬と、清兵衛を見て、人々はささやきかわした。

×   ×   ×   ×

蔚山城のかこみのとけたのは、正月三日で、宇喜多秀家、蜂須賀阿波守、毛利輝元など十余大将が、背後から明の大軍を破った。このとき入城してきた毛利輝元は、重臣宍戸備前守にむかって、

「朝月という名馬が見たいぞ――川音清兵衛をほめてやりたい。これへよべ。これへ馬をひけ」

と、なによりさきにいった。そこへ、やせた清兵衛がやせた朝月をひいてあらわれると、毛利輝元は、籠城の苦しさを思いやって、さすがに目に涙を見せ、

「これへ……これへ……」

やさしくまねいて、みごとな陣太刀一振りを清兵衛にあたえた。