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さんにんのそうせいじ

三人の双生児

海野 十三

「新青年」1934(昭和9)年9、10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页

青空文庫

すると二月十九日には妾の外にもう二人のはらからが誕生したことになる。

もっとも父は「授かる」と記し、「家内が産んだ」とは書いてないので、疑えば疑えないこともないが、まず授かるといえば、父の子供として認める意志があったように取れるので、出産のあったものと見るのが無難だと思う。

すると妾の母は、三人の双生児を生んだのであろうか。そしてそのうちの一人が、この妾なのである。残りの二人は何処にいるのであろうか。どうして三人で双生児なのであろうか。そういうことはあり得ることではない。二人ならば双生児だし、三人ならばどうしても三つ子といわなければならない。いくら三つ子が生れたからといって、父が三つ子を双生児と書き誤る筈はないと思う。そうなると、三人の双生児という有り得べからざる名称のうちに、何か異状の謎が語られていることになる。

妾はいろいろと縁よりを探してみた。だがそれがどうしてもハッキリ分らない。実は父が死んだときは、妾が十歳のときのことであるが、そのとき父についていた身内というのは妾一人だった。しかも生れ故郷を離れて、妾たちは放浪していたその旅先だった。