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さんにんのそうせいじ
三人の双生児
海野 十三
「新青年」1934(昭和9)年9、10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页
一方真一は静枝を愛していたのだろうか。そう思うと、妾の全身はカッと熱くなってきた。
思い起してみると、真一が静枝の前身を告げたときも、どっちかというと静枝を軽蔑しているようであったから、これは真一が慕われる方であったとしても、慕う方ではなかったと思われる。妾は僅かに気を持ち直した。
どうも分らないのは妾と両人の血の関係だった。静枝はあの三つの赤いカンカンを結って座敷牢にいた妹らしいと思うのに、一方真一の身の上が妾の幼時と非常に似かよったところがあり、ことに家出をした妾たちの母が曲馬団の舞台にいる真一に声をかけたらしいことから考えると、真一も亦、真実に妾の同胞らしい気がした。一体どっちが本当の同胞なんだろう。
「イヤ真一と静枝との二人とも、妾の同胞なのではあるまいか」
と、不図そんな疑惑が浮んできた。ああ、そんなことがあっていいであろうか。もし妾たちが同胞だったとしたら、これはなんという浅ましいことだろう。妾はまだいいとして、静枝と真一とはどうであろう。二人の関係は到底妾の知ることを許さなかったが、もしや曲馬団からこっちに何かあるのではなかろうか。もしあったとしたら……妾はペッと唾を吐きたくなった。