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さんにんのそうせいじ

三人の双生児

海野 十三

「新青年」1934(昭和9)年9、10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页

青空文庫

「お会いするわ。また帰ってしまわれると気味が悪いから、早く客間の方へ上げてよ」

妾に似ているというところを、僅かに安心の足掛りとして、思い切って会ってみることにした。さあ、どんな男だろうか。一と目見て心臓が凍ってしまいそうでもあり、また早く覗いてみたいようでもあり……。

「妾が主人の珠枝でございます――」

頃合を計って客間へ這入っていった妾は、客という背広の紳士の背中に声をかけた。

「いやア――」

と紳士は、居住いを直しながら、こっちを振り向いた。ああ、その顔――まあ、なんてよく似ている人もあればあるものだろう――と、妾は驚くというよりも感心してしまった。

「ああ確かに貴女だ。こんなによく似ているとは思わなかった。ああ僕は満足です――」

と向うでも容貌の似通っていたことに驚歎して、たて続けに叫びつづけた。

「アノ、失礼でございますが、貴方は誰方さまでいらっしゃいましょうか」

「ああ、僕ですか。イヤどうも余りに驚いてしまった、名乗ることを忘れて申訳ありません」

と云いながら、紳士はチョッキのポケットから一葉の名刺を抜いて、妾の前に差出した。

「僕はこういう者です。