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さんにんのそうせいじ

三人の双生児

海野 十三

「新青年」1934(昭和9)年9、10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页

青空文庫

妾は彼の再訪を幾度も懇願した上、名残惜しくも貞雄を東京湾の埠頭まで送ったのであった。

10

五ヶ月という日数は、妾にとってあまり永すぎた。――しかしとうとう、その五ヶ月目がやって来たのだった。

五ヶ月!

その間、妾は貞雄をどんなに待ち佗びたことだろう。堪えかねた妾は幾度も、南八丈島の彼の許へ手紙を出したけれど、それは梨の礫同様で、返答は一つもなかった。

その五ヶ月の間を、妾はどんなに驚き、焦せり悶えたかしれない。前には三人の双生児のことで思い悩んだ妾だったけれど、この度はそれどころではなかった。三人の双生児などは、もうどうでもよかった。ましてや真一の死などは何のことでもなかった。彼を殺した犯人が女探偵の速水女史であっても、また静枝が妾の本当の妹でなくても、それはどうでもよいことだった。事実妾は平気で、かの二人の女を同居させていた。二人は全く家族のように振舞っていたのである。ときには、誰がこの家の主人だか分らぬようなことさえあった。その五ヶ月を、妾は一体何事について驚き焦り悶えていたのだろうか。

姙娠!

妾は目下姙娠五ヶ月なのであった。

そういうと、きっと誰方でもこの余り意外な出来ごとのために、目を丸くなさることだろうと思うが、妾の懐姙は最早疑う余地のない厳然たる事実なのである。