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さんにんのほうもんしゃ
三人の訪問者
島崎 藤村
「開拓者」1919(大正8)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,196 字 · 7 页
何かの深い微笑のように咲くあの椿の花の中には霜の来る前に早や開落したのさえあった。
「冬」は私に八つ手の樹を指して見せた。そこにはまた白に近い淡緑の色彩の新しさがあって、その力のある花の形は周囲の単調を破って居た。
三年の間、私は異郷の客舎の方で暗い冬を送って来た。寒い雨でも来て障子の暗い日なぞにはよくあの巴里の冬を思出す。そこでは一年のうちの最も日の短いという冬至前後になると、朝の九時頃に漸く夜が明けて午後の三時半には既に日が暮れて了った。あのボオドレエルの詩の中にあるような赤熱の色に燃えてしかも凍り果てるという太陽は、必ずしも北極の果を想像しない迄も、巴里の町を歩いて居てよく見らるるものであった。枯々としたマロニエの並木の間に冬が来ても青々として枯れずに居る草地の眺めばかりは、特別な冬景色ではあったけれども、あの灰色な深い静寂なシャ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ンヌの「冬」の色調こそ彼地の自然にはふさわしいものであった。
久しぶりで東京の郊外に冬籠りした。冬の日の光が屋内まで輝き満ちるようなことは三年の旅の間なかったことだ。この季節に、底青く開けた空を望み得るということも、めずらしい。