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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

「少年読売」1948(昭和23)年3~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页

青空文庫

火星や火星の生物たちは、地球と地球人類のおかげで、たいへんとくをするわけだ」

「火星には、地球人類よりもえらい生物がすんでいるといううわさがあったので、胸をどきどきさせて火星へ着陸したんですが、もうこのようなことが分ってみると、ぼくたちは不安からのがれたけれど、気がゆるんでしまって、すこしがっかりしましたね」

「ははは、お気の毒さまだったね。それはそれとして、私たちは、火星魚人と話が出来る機械を急いで設計し、それをつくりあげて役に立てたいと思う」

「えッ、火星魚人と話のできる機械ですって。それはすばらしいなあ。いつになったら、それは出来上りますか」

「早くても一週間はかかるだろうね」

「もっと早く出来るといいんだがなあ、ぼくも手伝わせて下さい」

「よしよし。手伝ってもらいましょう」

正吉にはあと一週間が待どおしくて、仕方がなかった。

ところが、その一週間がたたないうちに、思いがけないことが起った。

というのは、それから四日目の夜のこと、大空に何とも知れず大怪音がひびきわたった。ごうごうというあらしに似てもっとすごいひびきだった。空気はひどく震動し、やがては地ひびきまで起った。