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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

「少年読売」1948(昭和23)年3~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页

青空文庫

探検隊長のマルモ・ケンだけは、さすがに探検の場かずをふんでにやにや笑いながら怪塔を見まもっている。

「隊長。私は夢を見ているんではないでしょうね」

マルモ・ケンのところへ、よろよろとよろけて走ったのはカコ技師だった。

「夢じゃないよ。カコ君、しっかり目を開いて、よく見ておくんだな」

「隊長。いったい、あれはなんですか。何事があそこで起りつつあるんですか」

カコ技師は、かん高い声を隊長にぶっつける。

「わしには分らない。わしよりも、君の方が専門じゃないか」

「なんとおっしゃいます」

「宇宙弾――といったようなものではないかね。とにかく、この火星の外から飛んで来たものにちがいない」

「宇宙弾といいますと、どんなものですか」

「おいおい、わしに聞くのはだめだよ。それよりも君の専門の眼でもって。あれをよく観察した上で、早くわしに報告してもらいたいな」

宇宙弾の説明を、マルモ隊長は、それ以上しないで、笑いにまぎらせた。カコ技師は、ようやく気がおちついてくるのをおぼえた。

(そうだ。技術者たるものが、こんな場合にあわてるのははずかしい。よろしい。あれはなんだか正体を見やぶってやろう)