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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
この地図をごらんなさい。ほら、この岩」
「なるほどなあ、あれはたしかに三角岩だ。これはおどろいた。おい君、有名な万年雪が今年はすっかりとけてしまったんだぜ」
その人は、とつぜんことばを切って、目を皿のように大きく見ひらいた。
「――何だろう、あれは。……あそこを見たまえ、何だかしらないが、大きなまるい球がある。あの沢の曲ったところだ。見えないかい、君たちには……」
彼はおどろきをこめて、前へのりだしながら下手を指さした。
「なるほど。見えるよ。大きな球だ。ぴかぴか光っているね。金属球だ」
「ふしぎだ。とにかくそばへ行ってみよう」
「おいおい、待ちたまえ。あれは危険なものじゃないか」
「そういえば、昔の写真に出ている機雷みたいな形をしていますわね」
「ふん、機雷に似たところもあるけれど、機雷は海の中にあるもので、こんな山の中にあるはずがない」
四人の登山者は、それから谷間をつたわって、下手へおりていった。みんな何となくおそろしいが、しかし自分たちで発見したものだから、ぜひその正体をたしかめたかった。
ようやくそばへ近よることが出来た。
沢のまん中に、直径三メートルもあると思われる大きな金属球が、でんと腰をすえていた。