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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

「少年読売」1948(昭和23)年3~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页

青空文庫

こんぶやわかめなどの海草の林が見え、岩の上にはなまこがはっている。いそぎんちゃくも、手をひろげている。

「水族館だと思いますか」

区長さんが笑いかけた。

「よく見て下さい。今、燈火をつけて、遠くまで見えるようにしましょう」

そういって区長は、窓の下にあるスイッチのようなものを動かした。すると昼間のようにあかるい光線が、さっと水の中を照らした。その光は遠くにまでとどいた。魚群がおどろいたか、たちまちこの光のまわりは幾組も幾組も、その数は何万何十万ともしれないおびただしさで、集って来た。

「これでも水族館に見えますか」

と、区長がたずね、

「いや、ちがいました。これは本物の海の中をのぞいているのですね」

遠くまで見えた。こんな大きな水族館の水槽はないであろう。

「お分りでしたね。つまりこのように、わが国は今さかんに海底都市を建設しているのです」

「海底都市ですって」

「そうです。海底へ都市をのばして行くのです。また海底を掘って、その下にある重要資源を掘りだしています。大昔も、炭鉱で海底にいて出るのもありましたね。

ああいうものがもっと大仕掛になったのです。人も住んでいます。