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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
扉Aというのはどこかと、球の表面をさがしまわった結果、後の方に半ば土にうずもれて×扉A×と書いてあるものが見つかった。土を掘ってみると、扉Aはまるいふたのようなものであった。それにはハンドルがついていて、左へ二十回ねじるように示してあったので、そのとおりにした。
するとそのふたみたいなものが開いた。金属板の上には、やはり薄彫りになった文字がつらなっていた。それを読むと、おどろくべきことが書いてあった。
*
この中には小杉正吉という勇敢な少年が冷凍されている。彼は本年十三歳である。彼は二十年間この中で冷凍生活を続けた後、ふたたび世の中へ出たい希望である。この球を発見せられたる人は、この球が封印したるときより二十年以上たっていることをたしかめた後、この少年を冷凍球の中からとりだしていただきたい。それはむずかしいことではない。この底のBとしるした金属板を焼ききると、その中には電気のプラグがある。そのプラグへ五十サイクル交流電気を百ボルトの電圧で供給すれば、四十八時間後には、自動的に球がひらいて、小杉正吉少年が出て来るであろう。それまでの四十八時間は、静かにこの球をおく以外に何も手を加えてはならない。